関節可動域測定の測定方法
股関節(hip joint)
屈曲、伸展(flexion、extension)
肢位:屈曲→背臥位で膝関節を屈曲位、伸展→腹臥位で膝関節伸展位
測定:体幹と下肢の外側より測定
基本軸:体幹と平行な線(体幹の長軸)
移動軸:大腿骨軸(大転子と大腿骨外側顆の中心を結ぶ線)
交点:股関節軸(大転子)
運動:屈曲は下肢を矢状面上で頭部に近づける運動、伸展は下肢を矢状面上で基本肢位から後方へ動かす運動
参考可動域:屈曲125°、伸展15°
測定上の留意:体幹の代償運動を防ぐため骨盤を固定。測定は背臥位、腹臥位の姿勢が一般的であるが、場合によっては側臥位で測定。
外転、内転(abduction、adduction)
肢位:背臥位の姿勢。内転を測るときは、健側の股関節、膝関節を屈曲し浮かせる。
測定:骨盤と下肢の前面より測定
基本軸:左右の上前腸骨棘を結ぶ線への垂直線
移動軸:大腿中央線(上前腸骨棘より膝蓋骨中心を結ぶ線)
交点:上前腸骨棘
運動:外転は下肢を前額面上で外方へ開く運動、内転は基本肢位より前額面上で内方へ動かす運動
参考可動域:外転45°、内転20°
測定上の留意:体幹の代償運動を防ぐため骨盤を固定。大腿の外旋を起こさないようにする。内転の測定時、股関節をやや屈曲させ、反対側の下肢の上を内転させてもよい。臨床では、角度計の固定バーを両上前腸骨棘を結ぶ線に当て、固定バーの90°直角位に移動バーをおいて、大腿骨軸にとり、測定することもある。この方法では、骨盤の代償を防ぐことができる。
外旋、内旋(external rotation、internal rotation)
肢位:背臥位で股関節を90°屈曲、膝関節を90°屈曲した姿勢
測定:下腿の前面より測定
基本軸:膝蓋骨中央を通る垂直線
移動軸:下腿中央線(膝蓋骨中心より足関節内外果中央を結ぶ線)
交点:膝蓋骨中央
運動:外旋は足部を他側肢に近づける運動、内旋は逆の他側肢より遠ざける運動
参考可動域:外旋45°、内旋45°
測定上の留意:股関節の屈曲や内外転を防ぐために大腿骨遠位端部を固定。
膝関節(knee joint)
屈曲、伸展(flexion、extension)
肢位:背臥位で屈曲を測定するときは股関節屈曲位の姿勢
測定:下肢の外側面より測定
基本軸:大腿骨軸(大転子と大腿骨外側顆を結ぶ線)
移動軸:腓骨(腓骨頭と外果を結ぶ線)
交点:膝関節軸(大腿骨外側顆)
運動:屈曲は下腿骨を大腿骨に近づける運動、伸展はその逆の元に戻す運動
参考可動域:屈曲130°、伸展0°
測定上の留意:股関節の屈曲、伸展、回旋を防ぐために大腿骨を固定。基本肢位より屈曲の反対方向へ動くことがある。それを過伸展、または反張膝(back-knee)という。
足関節(ankle joint)
屈曲(底屈)、伸展(背屈)(flexion or plantalflexion、extension or dorsiflexion)
肢位:腰掛け坐位、腹臥位、背臥位で膝関節を屈曲させ、2関節筋の緊張をゆるめた状態で足関節底背屈中間位の姿勢
測定:下腿および足部の外側より測定
基本軸:腓骨への垂直線(腓骨頭と外果を結ぶ線)
移動軸:第5中足骨
交点:腓骨頭と外果を結ぶ線が第5中足骨軸に交わる点
運動:伸展(背屈)は中間位より足先を下腿に近づける運動、屈曲(底屈)はその逆の遠ざける運動
参考可動域:屈曲(底屈)45°、伸展(背屈)20°
測定上の留意:足部の外がえし、内がえしの動きを避ける。
足部(foot)
外がえし、内がえし(eversion、inversion)
肢位:腰掛け坐位で膝関節を屈曲し、2関節筋の緊張をゆるめた状態で足関節底背屈中間位の姿勢
測定:下腿前面および足先端方向より測定
基本軸:下腿軸への垂直線
移動軸:移動した足底面(足横軸)
交点:両軸の交点
運動:外がえしは足の外縁を上げる運動、内がえしは足の内縁を上げる運動
参考可動域:外がえし20°、内がえし30°
測定上の留意:下腿の動きを防ぐようにする。
外転、内転(abduction、adduction)
肢位:背臥位または立位で膝関節を伸展させ、足関節底背屈中間位の姿勢
測定:足背より測定
基本軸:第1と第2中足骨間の中央線
移動軸:移動した同線
交点:足関節前部(内外果を結ぶ線よりわずか遠位側)
運動:外転は足部の外縁を外方へ動かす運動、内転は足部の内縁を内方へ動かす運動
参考可動域:外転10°、内転20°
測定上の留意:下腿遠位端を固定する。外がえし、内がえしの運動を避ける。
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