肩甲帯と肩の関節可動域(ROM)測定の方法!参考可動域や基本軸と移動軸は?

関節可動域測定の測定方法

肩甲帯(shoulder girdle)

屈曲、伸展(flexion、extension)

肢位:腰掛け坐位

測定:頭部および肩甲部の上方より測定

基本軸:両側の肩峰を結ぶ線

移動軸:頭頂と肩峰を結んだ線

交点:頭頂

運動:屈曲は肩甲骨を前外側方(外転)へ移動する運動、伸展は後内側方(内転)へ移動する運動

参考可動域:屈曲20°、伸展20°

挙上、下制(elevation、depression)

肢位:腰掛け坐位、立位、背臥位

測定:体の前面より測定

基本軸:両側の肩峰を結ぶ線

移動軸:肩峰と胸骨上縁を結んだ線

交点:胸骨上縁

運動:挙上は肩甲骨を上方へ移動する運動、下制は下方へ移動する運動

参考可動域:挙上20°、下制10°

肩関節(shoulder joint)

屈曲、伸展(flexion,、extension)

肢位:腰掛け坐位、立位、側臥位、背臥位(屈曲時)、腹臥位(伸展時)で、肘を伸展し、手掌を体側に向けた姿勢

測定:上肢の外側面より測定

基本軸:肩峰を通る床への垂直線(坐位、立位)、または肩峰を通る水平線(臥位)

移動軸:上腕骨軸

交点:肩峰

運動:屈曲は矢状面で上肢を前上方へ動かす運動、伸展は後方へ動かす運動

参考可動域:屈曲180°、伸展50°

測定上の留意:脊柱が前後屈しないように体軸を固定する。

外転、内転(abduction、adduction)

肢位:腰掛け坐位、立位、背臥位で肘を伸展し、手掌を体側に向けた姿勢

測定:体の前後面どちらからも測定

基本軸:肩峰を通る床への垂直線(坐位、立位)、または肩峰を通る水平線(背臥位)

移動軸:上腕骨軸

交点:肩峰

運動:外転は上腕を前額面で外方へ動かす運動、内転は内方へ戻す運動

参考可動域:外転180°、内転0°

測定上の留意:体の側屈が起きないよう体軸を固定する。外転90°以上は上腕を外旋し、前腕を回外することを原則とする。

※50歳以上の高齢者の中には外転が困難で前外方に挙上する被検者がいるので、その場合には前外方の挙上を外転としてもよい。

内転の別法

肩関節を20°~45°屈曲位で、上肢を体の前面で基本肢位より内方へ動かす。

参考可動域:75°

外旋、内旋(external rotation、internal rotation)

上腕体側下垂肘屈曲位

肢位:腰掛け坐位、立位で上腕を体側に下垂し、肘関節を90°屈曲し、前方に出した姿勢、前腕は中間位とする

測定:肩甲部の上方より測定

基本軸:肘を通る前額面への垂直線

移動軸:尺骨

交点:上方から投影した肘頭

※角度計を前腕下面の尺骨に添える測定方法も可能

運動:外旋は前腕を水平面内で外方への運動、内旋は前腕を水平面内で内方への運動

参考可動域:外旋60°、内旋80°

測定上の留意:臨床では、患者が坐位の姿勢で肘関節90°屈曲位の肘頭部に下から角度計の軸を当てる方法がある。固定バーを前腕の下面に当て、前腕の移動した尺骨下面に移動バーを当てて測定する。この方法では、基本軸、移動軸の近くに角度計を当てるので誤差が少ない。

肩関節外転位での別法

肢位:背臥位または立位で肩関節を90°外転し、肘関節を90°屈曲し、前腕を中間位の姿勢

測定:体の側方より前腕内側縁(尺側縁)で測定

基本軸:肘を通る前額面への垂直線

移動軸:尺骨

交点:肘頭

運動:外旋は前腕を矢状面内で頭部に近づける運動。内旋は下肢に近づける運動

参考可動域:外旋90°、内旋70°

測定上の留意:肩関節90°外転位に保つために上腕骨遠位端を固定する。

上腕90°外転位での内旋の運動は上腕骨の肩甲骨への衝突のため約60°ぐらいで制限され、それ以後は肩甲骨の動きを伴って行われる。

水平屈曲、水平伸展(horizontal adduction or flexion、horizontal abduction or exten-sion)

肢位:腰掛け坐位で肩関節を90°外転し、手掌を下に向けた姿勢

測定:肩峰の上方より測定

基本軸:肩峰を通る矢状面への垂直線

移動軸:上腕骨軸

交点:肩峰

運動:水平屈曲は外転90°位の上腕を前方へ動かす運動、水平伸展は後方へ動かす運動

参考可動域:水平屈曲135°、水平伸展30°

測定上の留意:移動軸は上腕骨外側上顆とする。

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