内外肋間筋と横隔膜の起始停止や機能!評価とアプローチも紹介!

横隔膜(diaphragm)とは

横隔神経は、腰椎、肋骨、胸骨からおこり腱中心に集まり、ドーム状に盛り上がった膜状の筋肉。左右差があり、肝臓がある右側はドームが高くなっている。胸部と腹部を分けている。

起始停止と作用

起始:胸骨部ー剣状突起、肋骨部ー第7~12肋軟骨の内面、腰椎部ー第1~4腰椎体、内側弓状靭帯と外側弓状靭帯

停止:腱中心

神経:横隔神経(C3~C5)

栄養血管:横隔動脈

作用:吸気筋

・吸気:収縮して下制し胸腔を拡大する。→腹腔の容積が減る為、腹圧が上昇する。(腹式呼吸)

・呼気:弛緩。

機能と影響

・横隔膜には、3つの裂孔があり、下後方から順に大動脈裂孔(aortic hiatus)、食道裂孔(esophageal hiatus)、大静脈孔(vena caval foramen)となる。

・大動脈裂孔(高さ:第12胸椎椎体)→腹大動脈、交感神経叢が通る。

・食道裂孔(高さ:第10胸椎椎体)→食道、迷走神経が通る。

・大静脈孔(高さ:第8胸椎椎体)→下大静脈が通る。

横隔膜が硬いと静脈や動脈が圧迫を受ける事があり、下肢のしびれや痛み、冷えなどの症状がみられる事がある。猫背や胃下垂の人は、横隔膜が下がっている事も。

・横隔膜は、肋間筋と協働として陰圧呼吸を可能にしている。→陰圧呼吸できることで四肢からの静脈還流量が増加し、心臓・全身への血液量を確保。

【メカニズム】

吸気時は胸腔内は陰圧になり呼吸を取り込む。→横隔膜、肋間筋の収縮で胸郭は拡大し、胸腔内の陰圧上昇・下大静脈の拡大。→腹腔内の下大静脈から血液が胸腔へ移動し、この中枢部への血液の移動が伝播して末梢静脈血は中枢部に引き上げられ、腹腔内の臓器や四肢からの静脈還流量が増加。心拍出量が確保され全身へ十分な血液が送れる。

横隔膜・肋間筋の問題があり胸郭の可動性低下があると、静脈還流量が低下し心拍出量、全身への血流量が少なくなる。→易疲労性、労作時の息切れ、呼吸困難になる。

関連症例

・頸部の痛みや肩こり、肩関節可動域制限。

→隣接する肝臓、心臓、肺と膜を介しての連結が関与。

・腰痛、ぎっくり腰

→大腰筋との連結。

→多裂筋との連結。

→肋間筋中心の腹式呼吸。

→骨盤底筋群の機能低下。

評価とアプローチ

・評価

呼吸、肋骨の可動性(上部と下部)、腹直筋のtone、体幹の回旋可動域、前後屈、立位感覚(グランディング)など。

・アプローチ

①肋骨下部前側方を手掌全面で把持し、横隔膜に触れるイメージを持つ。

②横隔膜を押しながらねじるイメージで動かし、硬さが取れるまで行う。

外肋間筋(intercostales externi mm.)、内肋間筋(intercostales interni mm.)とは

深胸筋群として肋間隙を埋める左右11対の肋間筋が主なもので、肋間筋と内肋間筋がある。

起始停止と作用

・外肋間筋(intercostales externi mm.)

起始:第1~11肋骨下縁

停止:起始肋骨に隣接する下位肋骨上縁

神経:肋間神経(T1~11)

栄養血管:肋間動脈

作用:肋骨を引き上げ、胸郭を広げる。(吸気)

・内肋間筋(intercostales interni mm.)

起始:第2~12肋骨上縁

停止:起始肋骨に隣接する上位肋骨下縁

神経:肋間神経(T1~11)

栄養血管:肋間動脈

作用:肋骨を引き下げ、胸郭を狭める。(呼気)※前部、中部、後部に分けられ、前部は吸気、中部後部は呼気に作用。

機能と影響

・肋間神経痛、胸背部の痛み→吸気の際に痛みが増大し、体幹屈曲、回旋時に痛みが出る場合がある。

・外肋間筋

腰痛や肩の症状、自律神経の症状と関連。→内肋間筋、小胸筋、前鋸筋、上後鋸筋、下後鋸筋、肋間鋸筋との連結。

・内肋間筋

腰痛や頸部痛、自律神経の症状と関連。→外肋間筋、大胸筋、胸横筋、腹直筋、胸骨舌骨筋、胸骨甲状筋、最長肋間筋、横隔膜との連結。

評価とアプローチ

・評価

呼吸、胸郭の可動性、体幹の可動域など。

・アプローチ

※深層筋なので直接触れることは難しい。

①肋骨の上部を前側方から包み込むように触れる。

②深呼吸をしてもらい、呼気のタイミングでバイブレーションをかける。硬い部分は重点的に行う。

③2回呼吸をしたら、少しずつ触れる場所を下にずらしていき全体を行う。

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