腓骨筋とは
下腿には、前面の伸筋群、後面の屈筋群のほか、外側に、足あるいは趾の屈伸に直接かかわらない腓骨筋群がある。このうち屈筋群が特に発達している。伸筋群は深腓骨神経支配、屈筋群は脛骨神経支配で、腓骨筋群は浅腓骨神経支配である。
腓骨の外側には2つの腓骨筋、長腓骨筋(per-oneus longus m.)と短腓骨筋(peroneus brevis m.)が存在する。長腓骨筋が腓骨上部よりおこり、短腓骨筋はこれに覆われる。両筋の腱は外果の後ろを通って足底に達し、足根骨、中足骨底に停止する。長腓骨筋は足の外側縦足弓の保持に重要な筋である。
起始停止と作用
長腓骨筋(per-oneus longus m.)
起始:腓骨頭、腓骨体外側面の上半、一部は筋膜と前下腿筋間中隔
停止:第1、第2中足骨底、内側楔状骨
神経:浅腓骨神経(L4~S1)
栄養血管:腓骨動脈
作用:足の外がえし、底屈
短腓骨筋(peroneus brevis m.)
起始:腓骨外側面、前下腿筋間中隔
停止:第5中足骨粗面
神経:浅腓骨神経(L4~S1)
栄養血管:腓骨動脈
作用:足の外がえし、底屈
※腓骨動脈→腓骨動脈は通常、後脛骨動脈からおこるが時に膝窩動脈からおこることがある。
※浅腓骨神経→下腿の前面、腓骨筋の深部で総腓骨神経浅腓骨神経と深腓骨神経とに分かられる。長腓骨筋、短腓骨筋に栄養し下腿外側の下半分の皮膚にも分布する。
機能と影響
・浅腓骨神経の圧迫による足趾、下腿外側・前面のしびれ、痛み。
・足部の安定性に関与。
→後脛骨筋とともに。(クロスサポートメカニズム)
→足部のクッション性のサポート(外側)。
→起立時や荷重時に足関節や下腿が外側に崩れる事で痛みがある。
・荷重時の下腿外側のアライメントの下方変位。→大腿骨頸部骨折、変形性膝関節症に多くみられる。(殿筋群の影響)
・捻挫との関連。→瞬間的に伸長
→硬くなる→外側ライン(ラテラルライン)上の不調(頭痛、頸部痛、顎の歪みなど)
・立ち上がりでの外側ラテラルスラスト。
触察法
長腓骨筋と短腓骨筋とを合わせた筋腹の前縁
1、触察者は触察部位の後方に位置する。
2、外果の後縁と、腓骨の前縁の遠位1/3の部位とを結ぶ線に指を置き、内側方へ圧迫しながら指を後方へ移動させる。
※足関節を自動底屈、足部を自動外転・回内させると触知しやすい。
3、腓骨の前縁の遠位1/3の部位と、腓骨の腓骨頭の前縁から1横指前方の部位とを結ぶ線に指を置き、内側方へ圧迫しながら指を後方へ移動させる。
長腓骨筋と短腓骨筋とを合わせた筋腹の後縁~内側縁
1、触察者は触察部位の後方に位置する。
2、短腓骨筋の停止腱の内側縁を、腓骨頭の後縁を指標にして近位方へたどる。
※長腓骨筋、短腓骨筋は腓骨の外側面から後面を螺旋状に覆っている。よって、外果付近では後方から、腓骨の中央部付近では後外側方から、腓骨頭付近では外側方から圧迫して確認する。
※足関節を自動底屈、足部を自動外転・回内させると触知しやすい。
長腓骨筋の前縁、後縁
1、触察者は触察部位の後方に位置する。
2、長腓骨筋の停止腱の前縁を、長腓骨筋と短腓骨筋とを合わせた筋腹の前縁の近位1/3の部位を指標にして、近位方へたどる。
3、長腓骨筋の停止腱の後縁を、長腓骨筋と短腓骨筋とを合わせた筋腹の後縁の中央部を指標にして、近位方へたどる。
評価とアプローチ
評価
MMT(膝伸展・屈曲)、筋緊張、可動域(回内・回外)、体幹の側屈、左右の重心移動、歩行の評価(ローディングレスポンス~ターミナルスタンスの安定性、ミッドスタンス時の重心位置など)
アプローチ
側臥位にて筋腹を横断方向にアプローチする。腓骨に押し当てるようにし、大きく動かす。
ストレッチ
肢位:腹臥位
膝関節を屈曲させ、対側の殿部に足底をつける。大腿部が浮かないように注意しながら、前足を底屈・内反させる。この時、腓骨頭を固定する。
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