心電図とは
心電図刺激伝導系
・心臓の興奮は洞結節→心房→房室結節→ヒス束→右脚または左脚→プルキンエ線維の順に伝わる。
・洞結節は右心房にある。したがって、心房の興奮は右心房から左心房に伝わる。
・この刺激伝導系に障害が起こった場合に不整脈が出現する。
心電図の波形
・その波形の各名称はアルファベッドのPから始まり、QRSTの順で名付けられている。
波形の持つ意味
・心電図が示す水平線(基線)に出現する小さな山(P)、急激な振れ(QRS)、そして大きな山(T)には以下に示した意味がある。
P波:心房が興奮を始めてから全心房が興奮するまでの過程。正常のP波の幅→0.1sec以内、2.5マス
PR(PQ)波:心房の興奮の始まりから心室の興奮の始まりまでの過程。(Q波は正常の場合出現しない)正常のPR(PQ)の幅→0.12以上~0.20sec未満
QRS波:心室の興奮の始まりから、その興奮が心室全体に行き届いて心臓全体が興奮するまでの過程。正常のQRSの幅→0.1sec未満、2.5マス
ST部分:心室の興奮極期。心室の脱分極過程の完了と再分極過程の開始の間。
T波:心室の興奮がさめていく過程。
記録紙の目盛と速度
・心電図の波形は、5mmごとの太めの線で区切られた熱感の方眼紙に描かれる。
・方眼紙の流れは一定で、通常1mmを0.04secの速度で流れることから、5mmは0.2secである。
・心拍数は、R-R間隔より算出される。心拍数→1分間で心臓が拍動する数(beats per minute:bpm)
・心拍数=60/R-R間隔の式で求められる。
・縦軸は電気刺激の強さを表し、通常、縦軸の10mmが1mVに相当する。
・電極に向かってくる興奮波を上向き(陽性波)、遠ざかっていく興奮波を下向き(陰性波)に記録する。
・縦軸の測定の基本は、正の波形では基線の上から波形の頂点までを測定し、高さとする。
・一方、負の波形では基線の下から波形の下端までを測定し、深さとする。
誘導心電図の測定
・心電図(electrocardiogram:ECG)は心筋収縮によって発生する活動電位の変化を増幅して記録したものである。
・心臓の活動電位は身体の末梢まで広がり、体表より活動電位の変化を導線によって取り出すことができる。
・心電図は心疾患の診断上重要な手がかりとなり、理学療法を進めるうえにもリスク管理上重要である。
・心電計(electrocardiograph)は心筋の収縮に伴って発生する起電力を導き出し、記録する装置である。
・装置は、検流増幅器、記録器、導子または電極よりなっている。
・12誘導心電図は、6つの肢誘導と6つの胸部誘導から構成される。
肢誘導
・肢誘導には双極誘導(または標準肢誘導)と単極誘導があり、右手、左手、右足、左足から測定する。
・誘導コードは、右手:赤、左手:黄、右足:黒、左足:緑と決められている。
・双極誘導の测定は、右手―右足:第Ⅰ誘導、右手―左足:第Ⅱ誘導、左足―左手:第Ⅲ誘導の電位差をみる。
・第Ⅰ誘導では、左手が正(+)関導子となり、右手が負(-)不関導子となる。
・第Ⅱ誘導では、左足が正(+)関導子となり、右手が負(-)不関導子となる。
・第Ⅲ誘導では、左足が正(+)関導子となり、左手が負(-)不関導子となる。
・右足はアースになっている。
・右手、左手、左足を結ぶ三角形は、アイントーベン(Einthoven)の三角形と呼ばれる。
・単極誘導は、右手(aVR)、左手(aVL)、左足(aVF)から心臓の活動を見たものである。
・aVR誘導では、右手が関導子となり、左手一左足が不関導子となる。
・aVL誘導では、左手が関導子となり、右手一左足が不関導子となる。
・aVFでは、左足が関導子となり、右手ー左手が不関導子となる。
胸部誘導
・胸部誘導は、肢誘導とは異なり胸壁の直下にある心臓の電気的な動きを拡大して記録し、かつ三次元に評価をすることができる。
・胸部誘導の電極の位置
V1(赤):第4肋間胸骨右縁
V2(黄):第4肋間胸骨左縁
V3(縁):V2とV4を結ぶ線の中央
V4(茶):第5肋間で左鎖骨中線上
V5(黒):V4と同じレベルで前腋窩線上
V6(紫):V4と同じレベルで中腋窩線上
※覚え方→あきみちゃんブラ紫!!
胸部誘導の正常波形
・胸部誘導は単極誘導である。
・心房および心室の興奮が電極に向かってくれば陽性(+)、電極から興奮が遠ざかれば陰性(-)となる。
・V1とV2は右室を、V5とV6は左室をみている。
・V3とV4は移行帯と呼ばれ、ORSの波形はR≒Sとなる。
・P波とT波はすべて陽性となる。
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