頸板状筋と頭板状筋の起始停止と作用!触察法や評価も紹介!

頸板状筋と頭板状筋とは

背部の筋(muscles of the back)は、浅側にある浅背筋と背部の主要部分を占める深背筋がある。深背筋のうち第2層は脊髄神経後枝の支配する固有背筋群(intrinsic dorsal musculature)で、頭頸部の板状筋群(splenii mm.)と脊柱起立筋群(erec-tor spinae mm.)、横突棘筋群(transversospinales mm.)などに分けられる。

板状筋群(splenii mm.)は、頭板状筋(splenius capitis m.)と頸板状筋(splenius cervicis m.)がある。

これらの筋は、実際にはそれぞれが筋膜で独立しているわけではなく、起始・停止が相互に入り組み、特に下部では癒着している。これらは左右が同時に働けば背屈を行い(脊柱をそらせる)、片側が働けば側屈あるいは回旋がおこる。

起始停止と作用

頭板状筋(splenius capitis m.)

起始:項靱帯、第3頸椎~第3胸椎の棘突起

停止:乳様突起と上項線外側部

神経:脊髄神経後枝の外側枝(C1C5)

作用:頭頸部の伸展、片側が働くと頸部の伸展と同側への回旋

頸板状筋(splenius cervicis m.)

起始:第36胸椎の棘突起

停止:第13頸椎の横突起後結節

神経:脊髄神経後枝の外側枝(C1C5)

作用:頸部の伸展、片側が働くと頸部の伸展と同側への回旋

頸板状筋の機能と影響

・作用:頸部回旋、伸展→特に伸展時の痛みとの関連が強い。

・頭痛→ストレスで上位胸椎が不動化することで筋toneが高くなり、緊張型頭痛の原因となる。

・ストレートネックやデスクワークでの肩こり頸こり→遠心性収縮の持続による循環不全。

・寝違いした時に痛みがでやすい。

触察法

頭板状筋の外側下縁

1、触察者は触察部位の外側尾方に位置する。

2、側頭骨の乳様突起の下端と、第3胸椎の棘突起とを結ぶ線を想定する(想定線1)。

3、頸部に位置する頭板状筋の外側下縁を触察するときは、想定線1に指を置き、内側方へ圧迫しながら指を内側頭方へ移動させる。

※抵抗に対し頸部を自動側屈させると、頭板状筋が収縮し触知しやすい。

※停止付近の筋腹は、胸鎖乳突筋に覆われているため触知しにくい。

4、背部に位置する頭板状筋の外側下縁を触察するときは、想定線1に指を置き、前方へ圧迫しながら指を内側頭方へ移動させる。

※起始付近の筋腹は薄く、また僧帽筋、小・大菱形筋、上後鋸筋に覆われているため、触知しにくい。

背部に位置する頸板状筋の筋腹

1、触察者は触察部位の外側尾方に位置する。

2、第3頸椎の横突起と第6胸椎の棘突起を結ぶ線を想定する(想定線2)。

3、想定線2のすぐ内側方に指を置き、前方へ圧迫しながら指を内側頭方~外側尾方に移動させる。

※起始付近の筋腹は薄く、また僧帽筋、小・大菱形筋に覆われているため触知しにくい。

※筋腹を触知しやすいのは第3~6胸椎レベルである。

※ランドマーク

第3胸椎→肩甲棘三角の高さ

第6胸椎→肩甲骨下角の高さ

頸部に位置する頚板状筋の筋腹

1、触察者は触察部位の外側方に位置する。

2、第3頸椎の横突起と第6胸椎の棘突起とを結ぶ線を想定する(想定線3)。

3、想定線3のすぐ後頭方に指を置き、内側方へ圧迫しながら指を前尾方~後頭方に移動させる。

※頸部と背部の境界付近は筋腹を触知しやすい。この部位では多くの場合、2本の筋腹を横断するのを触知できる。

※停止付近の筋腹は、肩甲挙筋に覆われているため触知しにくい。

頸板状筋の評価とアプローチ

評価

頸部関節可動域、頭痛、めまい、肩こり、頸部アライメント、筋tone(脊柱起立筋、僧帽筋、胸鎖乳突筋)など。

アプローチ

肢位:座位

起始部の筋腹に対して横断刺激を入れる。硬結部にはバイブレーションを加える。

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